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【小説】あの夏の光(9)倍の孤独と、足跡

図書委員の会議での敗北を機に、二人だけの「ゲリラ展示」へと歩き出した蒼太とひかり。 だが、ふたりの最初の作戦会議でひかりが掲げた「英雄の旅」という明るいテーマに、蒼太の”物語”との決定的なズレを感じてしまう。 蒼太は互いの視界の違いに落ち込...
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【小説】あの夏の光(8)『物語リクのスケッチブック「出会い」』

【小説】あの夏の光(8)『物語リクのスケッチブック「出会い」』 軋むような音を立てて、扉が開く。リクの肌を撫でたのは、部屋の中の淀んだ空気とは違う、生きた風の感触だった。音、匂い、光。情報量が、あまりに多い。一瞬、後ずさりそうになる足を、そ...
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【小説】あの夏の光(7)最初の、作戦会議

ひかりの誘いで図書委員となった蒼太。 だが、文化祭の企画会議でひかりの提案は現実に敗北。蒼太も恐怖で彼女を守れなかった。 しかし、涙する彼女に、蒼太は恋心を自覚する。 先生の提案した「ゲリラ展示」。それは、ふたりだけの静かな反乱の始まりにな...
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【小説】あの夏の光(6)ガラスの外の理論

柳先生の推薦から高槻ひかりに図書委員に誘われ、一度は断ろうとするも、ひかりのお願いに受け身ながらもその話を受けることに。その出来事が、停滞していた蒼太の物語を前に進めていく。しかし、やはり現実は厳しいものだった。 ガラスの外の理論 あの夜、...
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【小説】あの夏の光(5)『物語リクのスケッチブック「光の糸」』

『物語リクのスケッチブック「光の糸」』 リクの、ガラスの壁には、小さな、虹色のかけらが、残っていた。 あの日、名も知らぬ少女が起こしてくれた、ささやかな奇跡の痕跡。 初めは、ただ、それだけだった。 彼の、完璧に閉ざされた世界に、唯一存在する...
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【小説】あの夏の光(4)図書室の光

誰にも見せない孤独な創作を続ける蒼太。そんな日、彼の聖域である図書室に、密かに惹かれている、高槻ひかりが突然現れる。 図書室の光 あの夜、僕は、『ガラスと、虹色のかけら』を、書き上げた。 それは、僕の、物語の、主人公が、生まれて初めて、ガラ...
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【小説】あの夏の光(3)『物語リクのスケッチブック「ガラスと、虹のかけら」』

『物語リクのスケッチブック「ガラスと、虹色のかけら」』 リクの、すべての世界は、彼の部屋の、四角い窓の中に、あった。その、一枚の、薄いガラス。それが、彼と、外界を隔てる、絶対的な、境界線だった。ガラスの、こちら側は、すべてが手の届く場所にあ...
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【小説】あの夏の光(2)ガラスの小さなひび

心を閉ざし、教室の隅で息を潜める高校2年の神木蒼太。太陽のように眩しいクラスメイト・高槻ひかりとは、住む世界が違うと感じていた。しかし、ある化学の授業での出来事が、二人の間を隔てる透明な壁に、小さなひびを入れることになる。そして、新しい物語...
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【小説】あの夏の光(1)僕の世界を構成するもの

高校2年の神木蒼太は、自らを透明なガラスの内側に閉じ込め、教室という水槽をただ観察する少年。彼は言葉を発することを諦め、ウェブサイトに独白のような物語を綴るだけの日々を送っていた。 僕の世界を構成するもの 神木蒼太の世界は、一枚の薄いガラス...
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【小説】アウトサイド オブ ソサイティ(あとがき)今までと違うこと

あとがき この物語を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 実はこの作品は、僕が生まれて初めて「完結」させることができた物語です。 小学六年生の頃、図書室で読んだホームズに感化されて以来、何度も物語を書き始めては、そのたびに投...